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2009年10月 9日 (金)

是枝裕和を考える! ①

新作『空気人形』が公開されてる是枝監督。柳楽くんがカンヌで最年少主演男優賞を受賞した『誰も知らない』で世間的にはすっかりメジャーになったわけやけど、実は初監督作品ですでにヴェネチア映画祭で高い評価を受けるなど、個性的で独特の雰囲気の作品を撮り続けてる監督さんなんよね。

というわけで、今日から三日間、どっぷり是枝くんの作品を特集ってな♪ (『空気人形』は最終日に....ね!)

幻の光   ★★★☆☆   (1995年)

出演:江角マキコ、内藤剛志、浅野忠信、木内みどり、柄本 明、赤井英和、吉野紗香、寺田 農、大杉 蓮

幼い頃に祖母が目の前から失踪した事を心の中で悔いている主人公、大人になり、夫と3ヶ月の息子と三人、幸せに暮らしていたが、そんなある日、仕事帰りに夫が自殺してしまう...ってなお話?!

理由が分からず、不安と悔いだけが残り、喪失感に苛まれるんやね。生と死の問題を取り上げ、残された者の胸の内を静かに描く作品なんかな。

初監督作品ということで、少し全体的に間延びした感じがするところが初々しさやね?!(笑)

ただ、ところどころで叙情的な映像を挟み、十分に才能を感じされてくれてる。あえて被写体を接写せずに、遠景から捉えて音声を前面に出すあたり、雰囲気作りとしてはなかなかの上手さやったなぁ。

これが映画初主演の江角くんは、なかなか透明感のある演技をしてるんやけど、いかんせん関西弁がなぁ....。肝心の感情の表れる場面で、セリフが浮きまくってもうて....(苦笑)内藤くんが元からコテコテ関西人だけに、比べるとやっぱり少し役不足!?

淡々とした作品ながら、どこか心にひっかかる、そんな感じやったね。

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ワンダフルライフ  ★★☆☆☆   (1999年)

出演:ARATA、小田エリカ、内藤剛志、谷 啓、寺島 進、伊勢谷友介、白川和子、香川京子

死んでからあの世にいくまでの1週間、人生で最も想い出に残ってる事を見つけ、それを持って天国に行くことに。ひとりひとりに、職員が想い出話を聞いて回るのだが...ってな、ちょっと変わった人生ドラマ?!

話の設定はおもろいよね。それぞれの人生で起こった、いろいろな出来事。他人にとってはどうでもええ話なんやけど、それぞれの思い入れがあって、そんな気持ちが伝わるところがなかなかやったかな。

他人の大切な記憶の一部になっている事を知り、それまで50年間、想い出を選べなかった人が旅立って行くところはちょっと考えてもうたね。死後の世界はよう分からんけど、自分がもしこのシチュエーションになったとして、これまでの人生を振り返ったときに…何を選ぶんかなぁ…なんて?!

それにしても、想い出の再現シーンを撮影するところ、ちょっと学芸会チックで、頂けんかった(苦笑)

元がドキュメンタリー畑で育った監督らしく、ドキュメンタリー・タッチと言えば響きはエエンやけどね?!意外性はあるものの、思ったほど効果的やなかった....そんなとこかな。

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Distance /ディスタンス   ★★★☆☆   (2001年)

出演:ARATA、伊勢谷友介、寺島 進、夏川結衣、浅野忠信、りょう、遠藤憲一、津田寛治、中村梅雀

カルト教団が起こした事件の加害者の家族が、山奥の湖に集まり、そこで出あった元信者の青年と、教団が使っていた山小屋で一晩を過ごすことに...ってな、オーム事件を基に作った社会派ドラマ?!

殺人事件をおこしたカルト教団の加害者の遺族の心の苦悩を描くんやね。

ほとんどをハンディ・カメラで撮り、その語り口もドキュメンタリーの様やった。淡々とした流れの中で、残された者の心の中にある“問い”を静かに語るんやね。

自分にとって兄であり、夫であり、妻であった信者との心の距離、埋まらない溝を描いてる。事件を肯定できないが、自分の今の生き方に確信はない…そんな心の揺れがあるんかなぁ。

家族や愛するものが、もしそういう状況になったら....リアルに語られる“心の痛み”が伝わってくる、そんな作品やったね。

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誰も知らない   ★★★★   (2004年)

出演:柳楽優弥、北浦 愛、木村飛影、清水萌々子、YOU、加瀬 亮、韓 英恵、寺島 進、タテタカコ

母親に置き去りにされた、父親の違う4人の兄妹は、母親がいないことを隠し、誰にも気づかれないよう、子供たちだけで協力して生きようとするのだが....ってな、実話をモチーフにした話?!

実際にあった話やと思うと、ここで語られる厳しい現実は、あまりにも悲しく切ないんやね。

学校にも通うことが出来ず、世間からはその存在すら認められていない子供たち、そんな状況の中ですら時折見せる子供らしい表情や仕草はずっしりと心に響くよなぁ。

ドラマ性を極力排除し、淡々と子供たちの暮らしを映す手法は、少し退屈にも感じられるんやけど、それが終盤への序曲として静かに意味を問いかけてる。

子供たちのこの演技を引き出した監督 是枝裕和の技量に驚いてもうたね。

唯一の劇中歌をバックに、スクリーンに広がる、朝日を浴びた少年の表情は、忘れられへんね。

観終わったときに、どうしようもないくらい、涙でボロボロになってもうたよ!?

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